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ヨーロッパインポート布地専門店ファン

ヨーロッパインポート生地専門店

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アニオナ!アニオナ!!アニオナ!!!
私は職業柄、今までいろいろな洋服をみてきました。布地を仕入れるために外国へ行けば必ずブティック巡りをして「ふむふむ」とメモをしたり、店員の方と話して情報を集めたりしていました。しかし数年前、突然そんなことがつまらなくなってしまい、ブティック通いをやめてしまいました。その理由は「洋服がつまらなくなってしまった」からです。いろいろな物を見過ぎて過食気味になっていたのかもしれません。

そんな時期がしばらく続いたある日、日本のお客様に「アニオナのカシミアシャンプー」(カシミアを洗濯するための専用の洗剤です)を依頼されておりましたので、それを求めにミラノのアニオナブティックに行きました。それまで布地メーカーとしてのアニオナは注目していましたが、既製服のアニオナはあまり興味がなかったのでブティックに行くことはありませんでした。

しかし、一度中をのぞいてみると愕然としました。「これほどまでに贅沢な既製服があるだろうか!!」私の既製服に対する興味は以前にも増して燃え上がり始めたのです!
これは後にわかったことですが洋服の仕事をしている者は最終的に「アニオナ」に行き着く方が多いようです。私もそんな仕事の末席に加わっているからでしょうか、強烈な魅力を「アニオナ」に対して持つようになりました。

そんな「アニオナ」への興味が高じて、ある日とうとうイタリアの「アニオナ社」まで行ってしまいました。「アニオナ社」はピエモンテ州のボルゴセシアにあります。ピエモンテ州はアルプスの南側に位置し、昔から羊毛生地の産地として有名です。何しろ羊毛地作りには欠かせないアルプスからの氷河の雪解け水を豊富にたたえています。あのヴィエラ地方もピエモンテ州にあります。

さて、アニオナ社は以外と小さくかわいらしい建物でした。オフィスの方に進んでゆくと立て看板が・・・残念ながら部外者立ち入り禁止・・・当たり前ですね。
しょうがないので敷地の中にあるアニオナ社の所有するレストランへ行きました。
ここは一般の方の利用も可能です。というか、黙って入ってしまいました。
すると、アニオナ社の関係の方が食事をしています。私はその後ろに何食わぬ顔をして席に着き、耳を象のようにして彼らの話を盗み聞きしました。
なにやらC社からの発注品を仕上げるための技術的な問題を話し合っているようでした。
内容からするとおそらくアニオナ社の技術者の方だったのでしょう。

いろいろ興味深い話を聞いて、しかもおいしい食事を済ませて外に出ると、どうやらスパッチオ(アウトレットショップ)があるらしいとわかり、もちろんすぐにそこへ行ってみました。
するとそこはまさに宝石箱!それまで半年あまり洋服を買っていなかった私が、手当たり次第に手に取ってしまい、レジに運ぶと合計金額にびっくり!!さすがに予算の3倍以上にもなってしまったらお手上げです。店員の方に心からお詫びして一部(大部分?)を除いてもらいました。恥ずかしい事をしてしまいましたが、それほどにアニオナは私を魅了したのです。

ショップの中には洋服だけではなくカシミア製の熊のぬいぐるみやカシミア製のスリッパ、バスローブなどがあり、普段その様な物とは全く無縁な生活をしているにもかかわらず思わず欲しくなってしまい、熊のぬいぐるみを買ってしまいました。こんなすばらしい最高級の素材を使った熊のぬいぐるみ・・・よし、お客様も興味を持ってくれるかもしれない!と思い、お店用に仕入れ予算の一部を使ってもう一つ、熊のぬいぐるみとスリッパを仕入れました。

しかし、帰国して冷静になると、縦20センチ横10センチの熊のぬいぐるみが日本円で
30000円・・・・カシミアのスリッパが40000円・・・・果たして購入してくださるお客様がいるのだろうかと不安になりました。
そもそもアニオナは現地でも超高級品。イタリア人でもアニオナを所有できるのはごく一部の人だけです。
日本での知名度も当時としては低いので果たして売れるのだろうか?
結果は・・・やはり今ひとつでした。
「商品は鮮度が大事」という容赦ない社長の一声で、結局仕入れ値と同じ額にお値段を下げざるおえませんでした。しかしそれでもお買い求めいただける方がいらっしゃらなく、とうとう原価の半分の価格で販売することになりました。
そしてしばらくして、とある男性が全てお買い上げになりました。この男性もアニオナの魅力にとりつかれたお一人だそうです。しきりに「ほんとにいいの?」といいつつ満面の笑顔で帰られたそうです・・・・

余談ですが後日、日本でとある方から「いい物を見せてあげる」と言われ、革のケースに入った深いワインレッドのカシミアのコート地を見せていただきました。価格は300万円とのこと。革のケースだけで数十万とのことでした。そのケースには「AGNONA」の文字が・・・私としてはあまりに自分の想像を超えた品でした。一生に一度、この目で見られただけで幸せです・・・思わず拝んでしまいました。


しかしせめて洋服はと、相変わらず既製服の方には引きつけられ、今冬もカシミアのニットジャケットに心を奪われています・・・

さてさて、今現在アニオナ社はゼニヤ社に吸収され、AGNONAの布地部門は消滅してしまいました。既製服部門はゼニヤ社の影響がちらちらと見え隠れしていますがおおむねかつてのテイストを残して存続しています。

しかし、もう「究極の布地」の最新作はみることができなくなってしまいました。
やはりと言うべきか、残念というべきか布地は採算がとれなくなってしまったようです。
その分、近年は既製服の方に力を注いでいるようで、もちろん素材は素晴らしく、デザインもそれに見合う洗練度を以前よりも増しているように思えます。
皆様も、今後とも是非アパレルメーカー「AGNONA」にご注目ください!!
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